アルバム「エピソード」

【星野源】「営業」で歌われる社会人の悲哀【「エピソード」収録】

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星野源さん2枚目のアルバム「エピソード」に収録されている「営業」

この短い小説のような曲について、書いていきます。

どうも、「星野源さんに一方通行」管理人の紺色(@128128)です。

紺色なりの「営業」の解釈、考察等をしながら、歌詞の内容を紐解いたりします。

どうぞお付き合いください。

星野源「営業」概要

「営業」は2011年9月18日に発売された星野源さん2枚目のアルバム「エピソード」に収録されています。


エピソード
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ミドルテンポ、かつシンプルな構成の曲です。

しかし、アレンジは秀逸、歌詞はまるで超短編の小説を読んでいるようです。

この曲は生命保険会社の営業担当者を歌っています。

こんな曲、他にはない気がします。



「営業」アレンジから感じる悲しさと不気味さ

冒頭のキーボードの不気味さ

この曲のイントロは、キーボードのうねりです。

そこからあっという間に星野源さんの歌声が重なります。

このキーボードが奏でるメロディに、この曲の歌い手である生命保険会社の営業担当者の仕事に対する空しさ、悲哀のようなものを感じます。

うねりが、なんとも絶妙というか微妙で、不安定さをこちらに与えます。

葛藤なのか、不安なのか、怒りなのか、悲しみなのか、それともそのすべてなのか。

そういう混とんとした感情が渦を巻いている様子をこれ以上ない程的確に表現しています。

サビのドラムの外し

やがて曲はサビに到達。

そのサビのドラムのスネアの位置が、J POPの定石を外しています。

  1. タタ「タ」タ
  2. タタ「タ」タ

サビまではずっとこの「タ」の位置で規則正しくスネアが打たれています。

それがサビに突入すると

  1. タタ「タ」タ
  2. タ「タ」タタ『ッタ』

という、楽譜に書きたい変則リズムになります。

『ッタ』は四分音符の四拍目ではなく、四点五拍目です。

説明の仕方がこれであっているかはちょっと自信がありませんが。

ここも定石から外れた不安定さがあります。

サビで盛り上がりながら不安定さが増していくのが「営業」のアレンジの面白さです。

ちなみに10枚目のシングル「Family Song」に入っている「肌」は最初から最後までJ POPの定石から外れたスネアの打ち方をしています。



「営業」の歌詞に見る星野源さんの表現の豊かさ

アルバム「ばかのうた」「エピソード」は超短編小説が集結している

星野源さん、ソロの初期、1枚目のアルバム「ばかのうた」と2枚目のアルバム「エピソード」は、短編小説のような、物語や日常を描く曲がたくさん収録されています。

「ばかのうた」

  • 「グー」
    入院している男性(おじいさん?)が最後を悟りながら奥さんのことを想う
  • 「キッチン」
    恋人の別れ
  • 「茶碗」
    老夫婦が結婚生活を振り返る
  • 「老夫婦」
    「おばあさん」に先立たれた「おじいさん」
  • 「兄妹」
    見えない「妹」
    (星野源さんには生まれなかった妹がいて、そのことを歌にしたようです)
  • 「子供」
    まるで子供のようなラブラブカップル
    (星野源さんいわく「ありえない。ホラー」とのこと)

「エピソード」

  • 「エピソード」
    何らかのテレビ番組を見ている
  • 「変わらないまま」
    群れから外れた学生
    https://gen128128.com/gen-kawaranaimama/
  • 「布団」
    朝起きられない人が、恋人、配偶者を見送れなくてネガティブ思考に
  • 「バイト」
    バイト先の店長がとんでもないことを言う
  • 「営業」
  • 「ステップ」
    楽しいお墓参り
  • 「喧嘩」
    老夫婦のくだらないであろう喧嘩と仲直り
  • 「ストーブ」
    お葬式からの火葬

これは紺色が個人的に感じるストーリーなので、違うかもしれませんし、人によっては他の曲も小説のように聞こえるかもしれません。

保険会社の営業というつらい仕事

営業、と聞くとそれだけで大変な仕事だと紺色は感じます。

それが保険の営業となると、更に大変な仕事だと感じます。

この歌い手である営業マンは、プライドを捨て、狂いそうになりながらも這いつくばり、跪きながら働いています。

働くということは皮肉なもので、

自分は良いとは思わないものを、良いですよと言って客に売ったりする

ようなことが、保険会社じゃなくてもよくあることです。

何気なく見ているCMに出演している芸能人だって、その製品を表向きは使っているように演じながら、実は使っていないとか、好きじゃないということはあると思うんです。

紺色にも「これあんまりよくないんだけど、上にはこれを勧めなさいって言われてるし」と葛藤しながら仕事をするという経験があります。

ただ、紺色の場合は「相手が何かしら求めてくる」状態であったので営業のように、ゼロから相手に売り込んでいたわけではありません。

それに、「売る」ということがメインの職業でもありません。

生命保険に限らず、保険は

何か良くないことが起きることが前提

で使われます。

生命保険であれば、客やその家族が病気やケガでピンチになった時のことを見越して利用するものです。

誰かの不幸の上に成り立つ仕事、生命保険会社

ともいえるでしょう。

医師をはじめ、医療機関も、消防も、警察だって、そういう仕事です。

ただ、私達はつい、生命保険会社だってそういう仕事なんだっていうことを忘れがちだし、知らない人もいます。

「逃げるは恥だが役に立つ」原作で、主人公・森山みくりの友人にも大手保険会社に勤めたけれど、誰かの不幸で仕事が成り立っているということに耐えられなくなって、部署をと働き方のスタイルを変えた子がいました、確か。

(ドラマ未登場のエピソードかつ、キャラクターです)

そんな命や、からだ、生活に直結する仕事に重さを感じながら、葛藤しながらも働いているのがこの歌い手です。

少しずつ考え方がかわってゆく

1番のサビの時点で既に変化を見せている歌い手。

自分が売っているもの「保険」が誰かの笑顔を守る仕事だと気づきます。

いつか必ず人生は終わるのだから、「保険」で営業相手の「奥さん」の役に立とうとしています。

2番のサビになると、「客」を守るという気持ちになり、次のサビでは自分も「守られる人に出会えるか」で、〆ています。

誰かの不幸の上に成り立つ仕事→誰かが不幸に陥った時に助ける仕事

物事は捉え方次第で、プラスにもマイナスにもなります。

彼は、マイナスからプラスへ意識を変えたんだと思います。

これがなかなかできないから、人生は難しいんですよね。

発想の転換の大切さを、この歌詞を紐解いたことによって、教わったような気がします。



働くことを豊かな考え方で良い方向にもっていく

好きを仕事にするのは難しい、とはよく聞きます。

星野源さんも、出演したNHK総合「あさイチ」で好きなことを仕事にすることに対する強い不安を吐露しました。

でも、星野源さんは好きじゃないことを仕事にすることの難しさも知っていて、的確に表現しています。

この記事を書いているのは2018年9月です。

「営業」のような具体的な短編小説のような星野源さんの曲、またいつか聴けるといいな、と思っています。

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ABOUT ME
紺色
ただの星野源さんのファン。 2016年5~6月頃から。 一方通行に感想、情報、お役立ち等を発信中。 それ以上でも、それ以下でもありません。 くせはすごめ。